トレーニング
1−2. トップアスリートは感覚力が優れている

トップアスリートは、自分の身体に対する感覚力が優れています。そして、その感覚を言葉で伝えることに優れています。例えば、一般の人なら「なんとなく背中が変」と抽象的な表現になってしまいがちですが、「今日は右の肩甲骨の内側に小さな違和感がある」というふうに人にわかりやすく伝えられるのです。

小さな感覚刺激を意識してみましょう!

様々な情報を収集しながら身体の動きを調整している中枢神経(脳と脊髄)は、小さな刺激から多くの情報を得られる特性を持っています。

しかし、いつもヘッドフォンで大きな音で音楽を聞いていると、小さな音に鈍感になってしまうように、いつも強い刺激を受けていると小さな刺激を感じにくくなってしまいます。

トップアスリートのような感覚力を磨くには、スローモーションで動く中で、自分の体の動きや筋肉の動きなどがどのようになっているかを意識してみましょう。微細な動きや感覚などの小さな感覚刺激を意識することが大切です。

適切な呼吸ができていますか?

「呼吸をしているから、発達のピラミッドの土台はできている」と思っていませんか?呼吸にも「適切な呼吸」と「適切ではない呼吸」があります。

適切ではない呼吸とは、横隔膜が適切に働いていなかったり、肋骨の可動性が低下していたりすることが原因で、安静時に胸部や肩部周辺の筋肉を主に活用して呼吸することです。
また、適切ではない呼吸では、肩を頭の方にすくめたり、腰や背中を反ったりするなどの動作が確認されます。息を吸った際にドーム形状である横隔膜が適切な位置に下降しない場合、横隔膜と連動する交感神経が刺激されます。適切ではない呼吸によくみられる早いピッチの胸式呼吸をすると、気分が落ち着かず、気持ちが焦ってしまいます。

一方、安静時に適切な呼吸を行なっている場合、息を吸った時に肋骨が360°に広がり、息を吐いた時に肋骨が閉じ、横隔膜のドームはリズムカルに上下運動します。肋骨と横隔膜を適切に連動することによって、副交感神経が活性化されます。この呼吸の場合、感情は落ち着いていて、集中している状態にあります。

無意識に呼吸をするのではなく、土台である呼吸を整えて良いパフォーマンスを発揮するためにも、意識的に呼吸を操ってみることも大切です。

普段の呼吸をチェックしてみましょう!

参考文献

  1. 森本貴義、山本邦子. 「かけっこ一番」をめざす前に、知っておきたい60のこと 伸びる子どもの、からだのつくり方. ポプラ社. 2016.
  2. 山本邦子. From シアトル アスリート新化論. 産経新聞出版. 2009.
  3. Courtney R. : The functions of breathing and its dysfunctions and their relationship to breathing therapy. International Journal of Osteopathic Medicine, 12 (3) : 78-85, 2009. doi:10.1016/j.ijosm.2009.04.002.
  4. 大貫崇. 呼吸機能と体幹,横隔膜の関係性について. 日本アスレティックトレーニング学会誌 第 5 巻 第 1 号 27-34(2019)

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