
月経周期のコンディショニング
1-1. 月経(生理)がある時とない時で体調が変わる?
月経周期(生理の周期)は、月経の始まった日から次の月経が始まる前の日までの期間のことです。月経は、女性ホルモンであるエストロゲン(役割:妊娠の準備や、女性特有のカラダづくり、自律神経の安定化、血管・骨・脳などの健康維持な […]
女性アスリートの
育成・支援プロジェクト
月経周期に伴う女性ホルモンの変動(ゆらぎ)により、女性は男性に比べて体調に波が生じやすく、月経周期は身体的コンディションに様々な影響を与えます。
スポーツによっては、過度に体重が増加することがパフォーマンスの低下につながることもあるため、アスリートにとって重大な課題であると考えられています。特に女性は、男性と比べても体重の増減幅が大きく、排卵期には体重は減少し、黄体期には体重が増加足ます(1)。黄体期に体重が増加する理由は、ホルモンの関係で体内に水分を貯留することが促進されるためです。また、黄体期は女性の食欲が増すため、ウェイトコントロールが難しいと感じているアスリートが多いようです(2)。しかし、黄黄体期ではエストロゲンおよびノルアドレナリンが増加するため、有酸素運動を行うことによって、脂肪をエネルギーとして効率的に利用できます(3)。この脂質代謝の亢進を活かして、黄体期に有酸素運動を行うことで、体脂肪を効果的に減らすことが可能です。
卵胞期に比べて黄体期は、血中アミノ酸やカルニチン濃度が低くなるため、持久性のパフォーマンスを低下させ、疲労感を増加する可能性があることが報告されています(4,5)。黄体期に比べて卵胞期は、無酸素系運動後において酸化ストレスが増加することも明らかになっています(6)。
エストロゲンは、筋肉の発育・発達や再生に重要な女性ホルモンです。筋肉にはエストロゲンを結合する受容体というものが存在し、分泌されたエストロゲンとこの受容体が結合することで、筋力の増加や筋肉を大きくすること(筋肉のタンパク質合成)ができると考えられています(7)。排卵期はエストロゲンが多く分泌されるため、最大筋力が高まる可能性が報告されています(8)。そのため、排卵期に筋力向上を目的としたレジスタンストレーニングを実施することで、効率的にトレーニング効果が得られる可能性があります。
このように、女性の心と身体は月経周期によって変化しています。
良好なコンディションで試合や練習に臨み、快適な生活を送るためには、自分の月経周期での心身の変化を把握しておくことが大切です。また、月経周期に伴う女性ホルモンのゆらぎを理解し、そのゆらぎを活かすことで、女性にとって効率的で効果的なコンディション調整が可能です。
引用文献