これまでに学んだ骨盤・骨盤底筋の構造を考えると、骨盤底筋群のトレーニングは女性にとって重要であることを理解できたと思います。
しかし、女性における骨盤底筋群の機能やそのケアを考える上で、女性ホルモンとの関係、さらに女性ならではのライフステージにおける骨盤底筋群への影響を見落とすことはできません。
月経サイクルによる影響
月経サイクルにおけるホルモンの直接的な影響で、骨盤底筋群の収縮が変わります。また、月経痛などは体幹部に対して影響を及ぼすため、体幹と相関して働く骨盤底筋群の機能が間接的に変化してしまうこともあります。
妊娠による影響
妊娠中は、
- 女性ホルモンの関係で靱帯・筋肉が「ゆるく」なることで、骨盤底筋群に力が入りにくくなります。
- 腹筋が伸びてしまうため以下のような影響があります。
- 呼吸が浅くなる
- 猫背になる
- 腰がそる
- お尻の筋肉がうまく使えなくなる
- 歩き方が変わっていく
そして、それに伴い筋肉の機能が変化していき、骨盤底筋との連動がしにくくなってしまいます。
出産による影響
⚪︎自然分娩の場合
骨盤底筋群の限界まで筋肉が引き伸ばされます。場合によっては自然に裂けたり、産みやすくするために意図的に裂いたりすることもあり、外傷的な負担が起こってしまいます。また、その傷が不完全に治ることもあり、骨盤底筋の機能が悪くなる場合があります。
⚪︎帝王切開の場合
骨盤底筋そのものに外傷がない場合が多いですが、お腹にある7層の組織を切った上で赤ちゃんが産まれるため、それらの組織が完全に治癒されないことがあります。また、癒着といって、本来それぞれの組織がスムーズに動くはずが、7層ある内の2層、3層がくっついてしまうことがあります。そのため、帝王切開の場合、それぞれの組織の機能に影響を与える可能性があります。
育児による影響
育児中は下記のような骨盤底筋群への影響があります。
- 妊娠中や産後はホルモンによって筋肉・靱帯がゆるみやすくなる
- 授乳や抱っこをすることによって、さらに姿勢が変化する
- 妊娠・出産で弱くなった体幹などの体の変化をケアできず、骨盤底筋に負担をかける
更年期による影響
更年期になると女性ホルモンが減少し、それによって筋肉量が減少します。骨盤底筋群も例外ではなく、筋肉の弾力が低下し、筋肉の伸縮力が弱くなってしまいます。
このように骨盤底筋群は、女性ホルモンの変化、さらにはライフステージの変化によっても、多大な影響を受けます。
骨盤底筋群はたくさんの要素に影響をされます。そのため、骨盤底筋群の機能が低下する原因は人それぞれです。
骨盤底筋障害を改善するコツは、自分の体のことを知り、強さ・弱さを知った上で、自分の体に合ったアプローチをすることです。
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