骨盤底筋群に関与する8つの要素
4-8.メンタルストレス

現代のように忙しい社会では、ストレスは日常生活の一部になっています。心理的・精神的なストレスがかかると、自律神経のうち交感神経の働きが高まります。この交感神経には筋肉を緊張させる作用があり、こうした状態が続くと筋肉がこわばって筋疲労を招くことになります。

骨盤底筋群も筋肉のため、他の筋肉と同じようなことが起こります。
ある研究では、恐怖を与えるような映画のビデオクリップと、天気などの感情が揺さぶられないビデオクリップ(コントロール条件)を研究参加者に見せました。研究に参加した女性たちは、コントロール条件の映像を見ている間は骨盤底筋群の緊張の増加がみられませんでした。
一方で、恐怖を与えるような映画を見た時は、骨盤底筋群の緊張の増加が確認されたそうです。この骨盤底筋群の緊張の増加が一時的であれば良いのですが、先ほどの説明でもあったように、常に緊張すると過緊張にある骨盤底筋の機能は低下してしまいます(1)


以上のように、様々な要因が骨盤底筋群の機能に影響を及ぼします。骨盤底筋群の”不調の原因”は1つだけではなく、複雑に絡み合った結果による可能性も考えられます。骨盤底筋群の機能低下という「局部」だけを見るのではなく、メンタルも含めて身体全体を見て、骨盤底筋群に影響を与える様々な要因を一つ一つ整えていく必要があります。

参考文献

  1. van der Velde J, Everaerd W. The relationship between involuntary pelvic floor muscle activity, muscle awareness and experienced threat in women with and without vaginismus. Behav Res Ther. 2001;39(4):395-408. doi:10.1016/s0005-7967(00)00007-3

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